管理人Emilyは、Twitterで食物アレルギーがある長女の日常生活について発信したり、アレルギーを取り巻く最新の情報を得たりしています。
そうした中で、時には「外食の際に誤食してしまった」というツイートを見かけることがあります。
それだけでも胸の痛む出来事ですが、こうしたツイートに追い打ちをかけるように「アレルギー患者が外食するなんておかしい」というリプライがつくことがあります。それも結構な頻度で。
当然、ツイート主は誤食により心身共に疲弊しているところに、このような心ない言葉を投げつけられ深く傷つきます。
たしかに、誤食を避けるには「食べなければいい」のですが、アレルギー患者さんだって遠出が必要な時もあるし、自分の可能な範囲で「食事を楽しみたい」と思うことだってあります。
でも、だからと言って他人に迷惑をかけてまで自分の食べたい物を食べる、ということはありません。命に関わることですから。外食をする時は自宅での普段の食事以上に、念には念を入れて確認の上、食事をしています。
いちアレルギー患者の母として私が世間に望むのはただひとつ。
「決して無理はしないし言わないから、どうやって作っているか“正しく”教えて欲しい」ということ。必ずしも、アレルギー対応食を作って欲しいというわけではありません。
おいしいかどうかより「食べられるかどうか」
まず、ほとんどのアレルギー患者さんは外食に限って言うと、おいしいかどうかよりも、自分(もしくは子供)が食べられるかどうかを考えていると思います。
複数の食材にアレルギーがある方は特に、食べられるものを探すのが大変です。この時、
- アレルゲンが入っているか
- アレルゲンが入っていないか
も考えていますが、「少しなら食べられる」という方は、
- どのくらい入っているか
ということも、気にしています。この3点が、アレルギー患者さんが飲食店の方にお話を聞かせて欲しい理由です。
「少しなら食べられる」とはどういうことか
「少しなら食べられる」と聞いて、こんなことを思いませんでしたか。
- ちょっとぐらい平気なら、見た目で判断できないの?
- わざわざ店員に聞く必要ある? 一口食べてみて考えたら?
- 聞かれた上で食べて、もし症状が出たら責められるんじゃないだろうか。
そう思うのも無理はありません。でも、それでは危険な場合があるから、アレルギー患者さんは食べる前にお店の方に確認をしたいのです。
イチかバチか食べてみることは出来ない
症状が重く出てしまう方の場合は特に、“イチかバチか”食べてみることは出来ません。命に関わる症状が出たら、“この次”はないかも知れないからです。
こんなことを言うと「怖いから食べないで!」と言われてしまいそうですが、まずはこの先を読んでみてください。そういった方がいるのも事実ですが、ご本人が十分注意して危険な状態にはならないように管理しています。
では、
- どのように注意して
- どのように管理して
いるのでしょうか。
アレルギーでも食べられる種類・量・調理方法がある
アレルギーのある方がなぜわざわざ忙しい店員さんをつかまえて詳しくお話を聞かせてもらいたいか。それは、食材の種類や量、調理方法によっては無症状で食べることが出来る人もいるからです。
これは、その人の体質とアレルギーの程度によって、本当にさまざまなので一概に「これ」と言うことは出来ません。だからこそアレルギー患者さんは、飲食店の方に個人的にお話を聞かせて頂いた上で「食べられる」か「やめた方がいい」かの判断を自分でしたいのです。
例えば、
- この料理は卵を使っていないようだけれども、他の卵入りの料理を作ったフライパンや調理箸を洗わずに使いまわすことはあるかどうか
- フライドポテトは他の小麦を使った揚げ物と同じ油であげているかどうか
- サラダのドレッシングの原材料を見せてもらうことは出来るか
- えびやかにを使っていない料理はあるか
これはほんの一例で、まだまだ質問の内容は多岐にわたると思います。これに、患者さんたちはどのように答えてもらいたいと思っているのでしょうか。
「アレルギーがあるので質問したい」と言われたら
もし、「アレルギーがあるのでお聞きしたいのですが……」と言われたら。飲食店の方は「万が一症状が出たらどうしよう」と、ちょっとドキッとしてしまうかも知れません。
そのお気持ちはよくわかるのですが、まずはアレルギー患者さんのお話を聞いてみてください。お食事するのを受けるか断るかは、それから決めても遅くありません。
アレルギー患者さんは、情報を「正しく」伝えてもらった上で万が一症状が出てしまっても、ほとんどの方は「自分の判断ミスだった」と思うだけで責めることはないでしょう。
のちの参考のために、あとから「もっと詳しく聞かせて欲しい」と言われることはあるかも知れませんが、それは責める気持ちがあってのことではありません。
アレルギー患者さんの質問への答えは「多分」が一番困る
アレルギー患者さんが飲食店の方に質問した時、一番困るのが「多分そうです」という答え方。
「多分」というのは、“アレルゲンが入ってるかも知れないから食べられないかも知れないけど、入ってなかったらもしかしたら食べられるもの”という、実にあいまいな情報でこれをもとに判断するとしたら「食べない」の一択です。
そして、アレルギー患者さんは「アレルギーのことって難しいから仕方ないんだけど、もう少し知っていてくれたらなぁ……」とガッカリし、そのお店では食べることを諦めます。
では、どのように答えてもらうとアレルギー患者さんは嬉しいのでしょうか。
分からないことは「分かりません」でOK
アレルギーについて対応するには、思いのほかたくさんの知識や情報が必要になります。食品のパッケージの裏などには原材料等の情報が書かれていますが、そこに書いてある“意味”を知らなければ間違えて伝えてしまう可能性もあります。
アレルギー情報の正しい読み取り方についてはまた記事を改めて書きたいと思いますが、ここでは簡単で確実な方法のみお伝えしたいと思います。
1)聞かれたことに、YESかNOで答える
難しく考えることはありません。アレルギー患者さんが聞きたいことに、YESかNOで答えるだけでOKです。判断はアレルギー患者さん自身がしますから、店員さんは教えてくれるだけで大丈夫です。
これは、アレルギー患者さん自身も店員さんが答えやすいように質問することも大切ですね。
例えば、
- 「ポテトのつけあわせのマヨネーズは、別皿にのせて提供してもらうことは出来ますか?」
- 「食材としてだけでなく、調味料に卵が含まれるかどうか分かりますか?」
こんな質問にはYESかNOで答えて頂けると嬉しいです。「多分」というのはあいまいなので、はっきり言えない場合はNOでかまいません。
2)原材料表示が書かれているパッケージを見せる
もし、アレルギーにはあまり詳しくはないけれど、力になりたいと思ってくださる場合は、原材料表示が書かれたパッケージを見せてくださるとありがたいです。
こだわりのお店や小規模のお店では一から手作りのことも多いでしょうが、大手など仕込みは別工場で行う場合には食材の袋に原材料が書かれていると思います。
例えば、ランチで「ライス・サラダ・みそ汁・揚げ物」のセットの場合、サラダのドレッシングや揚げ物について詳しく知りたい方が多いと思います。
ドレッシングのボトルや揚げ物のパッケージを見せて下さると、アレルギー患者さん自身で判断することができるため、安心です。
もし、それを見せること自体お断りしたい理由がある場合は、それをはっきりお伝え下さるだけでOKです。何が何でも見せて頂けるとは思っていません。でも、もし可能なら原材料を見せて頂けるとアレルギー患者さんは大変助かります。
3)分からないと思ったら「分からない」「出来ない」と丁寧に答える
これは、意外と意識されていないことかも知れません。
アレルギーについては「むずかしい、面倒くさい」というイメージが先行してしまうのか、お客さんであるにも関わらず冷たい態度で断られてしまうということが時々あります。
アレルギー患者さんは、自分たちが少数派で、いろいろ質問したり面倒をかけていると自覚している方がほとんどだと思います。
ですが、それでもお店の方に聞いてみないと食べられるかどうか分からないので、悪いなぁと思いながらも質問しています。
その状態で「うちはアレルギーは無理だから!」と無下に断られると、「そうだよね、面倒なこと聞いてすみません」と、傷ついてしまいます。
もし、ちょっとうちでは対応が難しいなと思ったら、どうか他のお客さんへの対応と同じように、お話を聞いた上で「もうしわけありませんが、当店では対応できかねます」と断って頂けると嬉しいです。
きちんと断ってくださると、その時は食べることが出来ず残念ではありますが、お店に対してはありがたい気持ちになり、きちんとしているお店だなと感じます。
まとめ・構えないで「会話」をして頂けたら嬉しいです
アレルギー患者さんに対応するには、いろいろな手段があります。
実際に食べられるものを特別に作って提供するのも方法のひとつですが、今提供しているものを食べることが出来るのだとしたら、お店の方に負担はかかりません。
「今日のおすすめは何?」と聞かれた時くらい気軽な気持ちで、まずはアレルギー患者さんのお話を聞いてみてくださいませんか。
その上で、正しい情報を提供できそうになかったり、自信がない場合は、どうぞお断りください。
それが、いちアレルギー患者の母としてのささやかな願いです。
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