アレルギーをお持ちの方は、ふだんものすごく慎重に生活を管理されている方が多いと思います。でも、どれだけ気をつけていてもアナフィラキシー症状の出現は「必ずある」と思って準備しておくことが大切です。
いざ、救急車を呼ぶような症状が出たら、エピペン注射だけでなく、しなければならないことがたくさんあります。そのような時は、すべてを一から説明する心の余裕がなかったり、時間の猶予さえないことがしばしばあります。
そんなアナフィラキシー症状に落ち着いて対応するために、少しでも前もって準備ができていると安心です。そして、受け入れる側の救急隊や病院の方でも、「欲しい情報」というものがあります。
この記事では、病院を受診する時に必要な情報、「既往歴」などの書き方について看護師の私がご説明いたします。
「既往歴」とは
まず「既往歴」と言われて、何を知らせたらよいかイメージできるでしょうか。既往歴は、「今までどんな病気にかかったか」です。具体的には、
- いつ
- 何の病気になって
- どんな治療をして
- いつ治ったか(または今も治療中か)
が、医師は知りたいと思っています。これは、アレルギーに限らず他のどんな病気でも同じです。ですから、何らかの病気をした時には、ノートでもスマホでもメモをつけておくといざという時に役立ちます。
これを書く時には、時系列に沿って書いておくとわかりやすいです。既往歴・まとめ例で記載します。
「既往歴」が必要な理由
万が一アナフィラキシー症状が出た際に、アレルギーのかかりつけの病院に搬送された場合は、カルテを見ればこれまでの患者さんの治療歴は分かります。その場合は患者さんについての情報が出そろっているので、医師も診断しやすいですしより正確に診断することができます。
でも、アレルギーの場合、どこに搬送されるか分からない状況も考えられます。遠出した際には自宅外での食事が必須になりますし、その場合どうしても誤食のリスクがつきまといます。
いつものかかりつけの病院から離れた場所であれば、初めてかかる病院で治療を受けることも大いに考えられます。
治療に必要な薬ひとつ決めるにも、飲み合わせや体重などの情報が必要ですし、それ以外にも医師が診断する際には患者さんの体について多くの情報を必要としています。
すばやく正しく診断し治療を開始してもらうためにも、体についての情報をまとめておくことはとても大切なことです。
アレルギー患者さんの既往歴・まとめ例
既往歴情報シートに、「現病歴」を書き込む
またよく分からない言葉が出てきましたね。「現病歴」とは、「今回の具合が悪くなった時のこと」です。
つまり、アレルギーの場合は、何を食べてどんな症状が出たか、何の薬を使ってどう変化したか、これらの情報とそれぞれの時間が分かるとより良いです。
既往歴の他にまとめておくと便利な情報
アナフィラキシー状態になった場合は、エピペン注射などの処置を行い、救急要請もする可能性が高いです。落ち着いてすばやく電話連絡するためにも、病院の情報をまとめておくと安心です。
そして緊急で受診した場合、外来で経過観察し帰宅となることもあれば、そのまま一泊入院して経過をみることもあります。
入院となったら意外と多くの情報が必要で、ただでさえ患者さんの心配と対応で疲労しているところにたくさん書類を書くことがあります。
その時わざわざ調べたり、連絡したり聞いたりしなくても良いように、必要な情報はあらかじめまとめておきましょう。
緊急連絡先・保証人 | ・氏名、住所、電話番号、生年月日 ・その方の勤務先の名称、住所、電話番号 |
これまでの検査結果 | 血液検査などの検査結果(紙が便利) |
かかったことのある病院 | 病院名、かかりつけの科、担当医師、診察券番号、電話番号 |
緊急連絡先・保証人の情報
入院の際は、緊急時の連絡として、子供であれば両親の勤務先の情報が必要になる場合があります。勤務先の名称・住所・電話番号(内線番号)を書いておくと便利です。
また、入院費の支払いの保証人として、別所帯の成人の情報を書いて欲しいと言われることがあります。祖父母など保証人になってくれる方の名前・住所・電話番号・生年月日と、勤務先の名称・住所・電話番号を控えておきましょう。
書類のためでもありますが、いざという時にかぎってスマホの充電がなくなったりなどということがあります。
家族の職場に急いで連絡したいけど電話番号が分からない、となると焦る気持ちになったりするので、連絡する可能性がある場所の情報はまとめておくと安心です。
これまで受けた検査の結果
これまで受けた血液検査などの結果をお持ちの場合は、一緒に用意しておくと便利です。コピーさせて欲しいと言われることがあるので、スマホのデータではなく、紙で用意しておくと便利です。
かかったことのある病院の情報
緊急時に受診する場合、病院に電話してから行くことが多いと思います。その際、これまでにかかったことのある病院の情報を一覧にしてまとめておくと便利です。
電話番号はスマホなどの電話帳に入っていることもありますが、診察券の番号が分かると電話での話がスムーズになります。
また、自分がエピペンなどの処置をしている間に他の人に病院への連絡をお願いする場合は、紙に書いてあると見ながら通話することができるので便利です。
たとえば通りすがりの人に救助を要請する場面があるかも知れません。エピペンを使用するような状況では一刻も早く病院へ受診する必要がありますから、誰でもすぐに行動できるように情報を整理しておくと良いですね。
入院準備は日頃からしておきましょう
場合によっては、入院して経過観察する場合があります。その際に準備しておくと便利な物品はこちらにまとめましたので良かったらご参考にどうぞ。
まとめ
“いざ”という時なんて来ないのが一番良いのですが、どんなに気をつけていたとしても「不可抗力」は避けられません。原材料表示の間違いやコンタミネーションによる誤食など、いつ緊急時がやってくるかは分かりません。
万が一の際には慌てず、落ち着いて対応できるように、また他人でも協力しやすいように準備しておくと安心です。
- 名前、住所、電話番号
- 身長、体重
- 既往歴
- 内服中の薬
- 現病歴
- これまでに受けた検査の結果
- かかったことのある病院の情報
- 緊急連絡先、入院時の保証人の情報
ピンクのマーカーの情報がいちばん大切です。これだけは必ずメモしておきましょう。子供の場合は、定期受診時に身長・体重を計ったついでに情報を更新しておくと良いですね。
皆様の緊急時に少しでも慌てず安心して対応できるように、微力ながらお手伝いできれば幸いです。
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