主治医と一緒に本物のエピペンで自己注射の練習をした長女。その後、長女の意識に変化がありました。その様子をお伝えしたいと思います。
「いつごろから自己注射を教えるべきか?」は、幼児や小学校低学年の保護者には悩ましい問題だと思います。
Emilyの長女の話は一例にしかすぎませんが、みなさまが主治医に相談するきっかけになるといいなと思い記すことにしました。
前回のお話はこちら↓
自ら「練習用のエピペンでビデオと一緒にやってみる」と言った長女
定期受診の時に、主治医と一緒に本物のエピペンを打ってみた様子をビデオに撮らせてもらいました。
そのビデオを、数日後、長女と一緒に見てみることにしました。
前回の記事に記した通り、まずは主治医が練習用キットでやってみせてくれ、その後本物のエピペンをタオルに注射する自分の様子を見つめる長女。
1分半くらいのビデオですが、見終わると「もう一回見る!」と繰り返し見ていました。
そして、「先生と一緒にやってみる」と、練習用キットとクッションを自ら用意しました。
先生の声とビデオの中の自分の動きに合わせて、練習用キットをクッションに押し付ける長女。
何度も繰り返し行ううち、「ずれないように脚を押える」「3秒数える」など先生に注意されたポイントも出来るようになってきました。
「本番はどこに打てばいいの?」と自ら考える発言
繰り返し練習用キットで何度も注射の練習をした長女。
「どう?本番も自分で出来そう?」
と聞くと、
「でも、どこに打てばいいか分かんない。どこに打てばいいの?」
との言葉がありました。
自らそんな風に疑問がわいてくることが、私はとても良いことだと思いました。気になった時に勉強するのがいちばん頭に残ると思うからです。
そこで、マイラン社がホームページで提供している、エピペン注射の手技についてお手本や注意点を教えてくれるVTRを一緒に見てみることにしました。
エピペン練習用キットで自分の足に注射の練習
VTRと同じように椅子に座らせ、VTRの解説の難しい言葉をやさしい言葉に言い換えながら伝えます。
タオルに押し付ける時とは違い、練習用キットでも皮膚が押される痛みがあるので少し怖がる長女。
どのくらいの力で押すと良いのか、その加減も体験してみることが出来ました。
今まで、お医者さんごっこ用に練習用キットは渡してあったものの、「医師役」として患者役の妹や友達にカチッとやったことがあるだけで、今回のようにアナフィラキシーを起こして自己注射するという本番を想定しての練習は初めてのことでした。
それを、自らやってみようという気持ちになったのが良かったなと思います。
「エピペンはこわい」自己管理が自分のこととして意識された長女
一通りの練習を終えて、長女がひとこと言いました。
「ああ~、エピペンこわいな~。注射やだな~!」
「そりゃあそうでしょうね。自己注射はこわい。痛いしバチンッって音するしね。でも、出来たじゃない?」
「そうだけどさ…」
と煮え切らない様子。
言葉で書くと拒否しているようにも感じられるでしょうが、長女は本気で嫌な時はもっと「やだやだやだーーー!!!」とウルサイので、この「やだなぁ」は必要性を理解した上での愚痴だと私はとらえました。
「エピペンを注射したくないのは分かるよ。だから、できるだけ使わないようにするために普段からいろいろ気をつけたり、一緒に勉強したりしようよ。
それでも、どうしても運が悪かったら注射が必要な時があるから、自分で出来るようになっておけばどこに行っても安心じゃない?」
「……うう~! もうわかった~!」
“注射やだ”っていう気持ちは一生あるでしょうね。がんばれ長女よ笑
長女がエピペンを含むアドレナリン製剤を必要としたのは、過去5回。そのいずれも、医師もしくは私が注射しています。
だから、これまでの長女の意識は、【アナフィラキシーを起こしたら誰かに注射してもらい、病院に連れて行ってもらうもの】だったと思います。
ところが、今回の体験で【もしかしたらアナフィラキシーの時に自分で注射するかも…?】に変わったのだと思います。
完全に「自分でやらなきゃ」になっていないところがミソですね笑
今はようやく階段を一歩のぼったところで、ここから「何かあったら自分で判断して自己注射して救急車呼ぶ」と覚悟を決めるところまで娘を支援していかなければなりません。
今はまず、チャレンジしてみた長女はえらい! と持ち上げておこうと思います。
手技・判断力を身につけるまで援助は続く
今回は、とにかく「チャレンジしてみよう」をクリアできたことが良かったと思います。
しかし、1回やって終わりではありません。緊急時に命の危険を回避するための判断力と、確実な注射の手技を身につけなければなりません。
とりあえず手技については、繰り返し練習していくことが大切です。
期限切れのエピペンはもう一本あるので、忘れたころにまた医師に見てもらうのもいいかなと思っています。
定期受診の時に、今の気持ちを忘れないうちに練習用キットで自己注射するところを医師に見てもらうのもいいかな。
アレルギーのことを考えるのは時に辛い気持ちになることもありますし、普段は忘れていても良いとして、定期受診の時に医師と確認していけるように考えてみようかな。
なんだか学校の避難訓練みたいですね。
いざという時に冷静に行動できるようにする、という面では同じかも知れません。そう思うと、少しは身近に考えられないでしょうか。
長女が知識・手技を獲得していくまでの様子は、時々こうして記していきたいと思います。